三菱地所ホームの全館空調「エアロテック」はやっぱり快適

先日、三菱地所ホームの「住まいづくりセミナー」に、オーナーとして講演してきました。このセミナーは以前は「エアロテックセミナー」と呼ばれていたもので、今回で5回目の参加となります。



三菱地所ホームの「住まいづくりセミナー」

セミナーの目玉は、三菱地所ホームが誇る全館空調システム「エアロテック」の説明とオーナーの講演です。

私が家を建てたのは6年半前、2011年の12月に入居しました。数あるハウスメーカーのなかから三菱地所ホームを選んだのは、その全館空調システム「エアロテック」が魅力的だったからでした。


三菱地所ホームの全館空調「エアロテック」

全館空調システムというのは、通常の冷暖房と違って、居室だけでなく、トイレや廊下といった家全体の隅々まで冷暖房したり、24時間換気を行うシステムのことです。1台の室内機を24時間365日常に稼働しているにも関わらず、1年を通しての電気代はクーラーや暖房よりも遥かに安くなります。オフィスビルの冷暖房・空調システムが住宅に導入されていると考えればイメージしやすいと思います。

全館空調システムの概要(こちらを参照)

三菱地所ホームの全館空調システム「エアロテック」は、他社と比較していくつかの特徴があります。詳しくは後述しますが、エアロテックは三菱電機が個人向け住宅用に設計・製造している全館空調で、三菱グループの強みを活かしたものとなっています。他社と違って三菱地所ホームで家を建てる人はほとんどの場合が全館空調のエアロテックを導入しているのではないでしょうか。

エアロテックは、「部屋ごとに個別の温度設定ができる」のが最大の特徴となっています。他のハウスメーカーも同じ機械を使えばいいじゃないかと思いますが、この全館空調エアロテックは各部屋の温度制御の特許を持っている三菱電機と共同開発しているそうです。

部屋ごとに個別の温度設定が可能(メーカーサイトより)

個別設定ができるメリットは非常に大きく、家族で寒がりや暑がりがいても、同じ温度設定で我慢しなくても大丈夫です。夏場は27℃、冬場は20℃あたりに設定、春と秋は送風モード、普段使わない部屋はキープ設定(通常時より冷房+3℃ 暖房-5℃)する場合が多いようです。

各居室のルームコントローラ

また、家庭用電源の単相100Vで稼働するので、三相200Vの動力用電源を契約しなくても済むというのも他社とは違う点です。

エアロテックのメリットをまとめたわかりやすいこちらのサイトを紹介します。

メリット1:ヒートショックを予防できる
冬場に起こりやすいヒートショックは、リビングや寝室などの温度と、トイレや洗面所などの温度の差によって引き起こさるとっても怖い現象です。ヒートショックによって心筋梗塞などで死亡される方は、年間17,000人と交通事故で亡くなる4,611人の約4倍もいるそうです。(2011年東京都健康長寿医療センター調べ)
全館空調システムを導入することにより、家全体を同じ温度に保つことができヒートショックの危険性を少なくすることが可能です。

メリット2:電気代が安い
全館空調システムは24時間つけっぱなしが効率的だそうです。「エアコンをずっとつけておくなんてもったいない」と思うかもしれませんが、つけっぱなしにしていたほうが効率がよく、電気代が安いそうです。
ずっとつけていても、月5,000円~6,000円で年間6万円程度。各部屋にエアコンをつけるよりもずっと効率的なのがよくわかります。
一戸建ての場合、リビングや寝室などで6台くらいエアコンの設置が必要な場合もあります。24時間付けっぱなしでいいので、ペットを飼っている家庭などにもオススメですね。

メリット3:インテリア・間取りで有利
まず、エアコンがないので部屋がスッキリ見えます。そして、吹き抜けなどで大空間をつくる際は部屋の温度のことが気になります。全館空調システムを導入すれば、家全体の温度を同じに保つことができるのでその不安は解消されます。

三菱地所ホームのページでも、電気代が安いことをセールスポイントにしています。

三菱地所ホームのページより

では実際にはどうでしょうか?

結論から述べると、確かに冷暖房にかかる電気代はかなり安く抑えられます。

拙宅の例を挙げて紹介します。拙宅は2階建て延床面積が148.30㎡(44.8坪)のオール電化です。屋根には太陽光発電パネルを5kW分載せています。

家族は子供二人の四人家族で、妻は専業主婦なので普段は在宅です。オール電化なので当然料理には電気を消費します。また特に電気を消費する家電製品はありませんが、オーディオと65型のTVはそれなりに電力を消費します。

2017年3月~2018年2月の1年間の電気代は、211,642円、月平均は17,600円でした。


ここで留意すべきは、この電気代は、太陽光発電で発電した電力の一部は自家消費しているので、太陽光発電システムがなければ、電気代はもっと高かったであろうという点です。

少し細かい話になりますが、こちらのサイトによると、東京エリアだと、売電している割合は発電量の50%程度のようです。

拙宅の上記1年間の太陽光発電による売電額(電力会社に売って収入となった金額)は、117,000円なので、これが発電量の50%なので、実際には上記の211,642円に加えて、117,000円を加えた328,642円というのが(太陽光発電がない場合の)年間の電気代ということになります。

このなかから、エアロテックの電気代だけを試算するのは難しいので、三菱地所ホームに上記のデータを送ったところ、拙宅のエアロテックの電気代は、おおよそ65,000円という回答をいただきました。カタログの49,000円よりやや高めですが、まあまあ妥当なレベルというところでしょうか。

年間冷暖房費試算結果

太陽光発電の話題が出たついでですが、6年前の太陽光発電システムへの投資は以下のとおりでした。

初期投資額:5kW x 40万円/kW = 200万円
補助金:(東京都10万円 + 国4.8万円)x 5kW=74万円(区の補助金は抽選4倍で落選)

でしたので差し引くと126万円くらいでした。

年間の売電額が上記のとおり117,000円ですが、売電している割合が発電量の50%なので、実際の発電額は234,000円/年となります。

126万円 ÷ 23.4万円/年 = 5.4年

ということで、だいたい5年半経てば太陽光発電の初期投資は元が取れる計算になります。拙宅は6年半なので既に初期投資費用は回収済みということになります。

私が家を建てた当時の買取単価は42円/kwhの10年固定と、現在の条件(26円/kwh)と比較するとかなり有利でした。また現在は、補助金は国も東京都も区も無くなってしまったので一概に言えません。一方、太陽光パネルの変換効率はこちらのサイトによるとここ数年で25%とかなり改善されており、またコストダウンも進んでいるので、その点は現在のほうが有利だと思われます。

因みに拙宅の太陽光パネルは三菱電機製の多結晶シリコン(モデル:PV-MX190HA)です。こちらの記事によると、2017年以降は単結晶が多結晶をシェアで抜いているそうです。

太陽光パネルの変換効率の推移

いずれにせよ、これから家を建てる方には太陽光パネルの検討をお勧めします。

三菱地所ホームのサイトにはエアロテックの6つの特徴が紹介されています。

エアロテックの6つの特徴(同社サイトより)

6つの特徴に加えて、以下、エアロテックの個人的な感想を述べます。

良かった点
  • 真冬の厳寒期も真夏の酷暑期でも、部屋のなかはいつでも快適というのは、果たしてない心地良さがあります。特に酷暑の真夏に帰宅したときに玄関に入ると、汗がシュワ―っと蒸発するような感触は最高です。また、真冬でも脱衣所や風呂場が全く寒くなく、快適に過ごすことができます。
  • 部屋の隅々までいつでも快適な温度なので、家のなかの活動領域が一気に拡がります。エアコンや暖房のときは暑い/寒いという理由であまり入りたくないような部屋にもいつでも快適に入ることができるので、部屋の有効活用にもなります。
  • 壁やドアで空間を仕切る必要がないため、間取りのデザインが自由に取れます。ドアがないということは、開け放しもないということで、リビングなどいちいちドアを開閉して出入りする必要もありません。
  • 「全館空調は部屋の空気が乾燥する」という特徴を逆手に取って、洗濯物はすべて部屋の中で干してしまえば、屋外よりも遥かに早く乾燥します。屋外の汚れた空気に晒されるよりはエアロテックのクリーンな空気で乾燥するので健康にも良いです(ちなみに部屋干しはホスクリーンという製品が定番です)。
  • 年間を通して一定の温度というメリットを活かして、動植物を室内で飼う・栽培することができます。拙宅では、冬はヒーターが必要なオカヤドカリも何もしなくても元気ですし、カブトムシの幼虫の越冬も問題ありませんでした。
  • 居室ではルームエアコンのように個別に室内機を設置しないため、送風ファンの音がありません。なので、オーディオ鑑賞など静寂な環境で過ごしたいときには、完璧です。
  • 真冬でも靴下やスリッパが不要です。もちろん床暖房も不要です。拙宅はフローリングですが、全く寒くありません。スリッパの脱ぎ忘れや靴下を履いて足が蒸れることもありません。
  • 室内の空気が常に循環しているため、部屋に埃が溜まりません。掃除が非常にラクになります。
  • 真冬時でも窓の結露が皆無です。したがって結露が原因のカビ発生がありません。

悪かった点
  • 本当に不満な点は何もありません。それほどエアロテックという全館空調システムは完璧です。
  • よく言われるように、冬場は室内がかなり乾燥します。湿度で25%くらいまで低下することもあります。数年住んでいると慣れてしまいますが、お肌の乾燥が心配な方や、風邪の予防のためには、加湿器を併用する必要があります。我が家は加湿器を使うのを止めて、浴室のドアを開けて浴槽の蓋を開け放し、洗濯物はすべて室内で干しているので、乾燥で困ったことはありません。
  • 一度エアロテックの生活に慣れてしまうと、もう普通のエアコンや冷暖房の家には二度と戻ることはできなくなります。子供たちが将来大人になって独り立ちするときにエアロテックを離れるときが心配です。

その他
  • 騒音について:エアロテックの室内機はそれなりの騒音を出します。常時低音で静かに「ゴォーッ」と鳴っている感じです。しかし、エアロテックの室内機運転音の設備機器メーカーによる無響室での測定した数値は42dBです。一般的なルームエアコンは40~45dBですから、ほとんど変わりません。図書館の騒音と同じレベルです。馴れてしまえば全く問題ないです。拙宅は1階に室内機を置いていますが、2階ではその音は全く聞こえません。
室内機(ドアを開けた状態)
  • メンテナンスに関しては、何も問題はありません。2週間に1回の定期的なフィルターの掃除くらいであとはメンテナンスフリーです。
  • 天井に送風のダクトを通す必要があるので、天井高が低くなる場所が発生します。拙宅の場合、リビングの天井高は2.4mですが、ダクトが通っている隣部屋の多目的室は2.1mと約30cmほど低くなっています。
  • (全館空調システム一般に言えますが)新築時に導入しないと、リフォームや追加導入は極めて難しいです。
あとはネットの掲示板(こちらとかこちら)の意見を参考にすると良いと思います。

全館空調システムを導入できるハウスメーカーは、三菱地所ホーム以外にもいくつか選択肢があります。

まず三井ホーム。三井ホームは首都圏ではツーバイフォーの木造住宅メーカーとしてはブランド力(そして価格)No.1のハウスメーカーです。全館空調システムは東芝とデンソーの2社から選択できます。


次に住友林業。住友林業は伝統的な木造軸組工法が中心ですが、ツーバイフォー住宅もやっており、全館空調システムはアズビル(旧山武)製です。


ちなみに注文住宅のブランドイメージとしては、三井ホームがベンツ、住友林業がBMW、そして三菱地所ホームがアウディと勝手に考えています。

各社の全館空調システムの比較ですが、室内機の設置に大きな違いがあります。エアロテックの室内機は1階に設置するのが基本であるのに対して、住友林業は2階天井裏に設置されます。天井裏なので当然ながらメンテナンスが大変というデメリットがあります。
三井ホームの全館空調システムは、温度に加えて湿度管理ができることをセールスポイントにしていますが、逆に水分を管理するということで、システムが複雑化し、カビの発生にも繋がってしまいます。ちなみに三井ホームの全館空調システムである東芝のスマートブリーズは、エアロテックと比較すると騒音が大きいようです(こちらのサイトでは実測値52dB)。電源が200Vであることも影響しているのかもしれません。

エアロテックは三菱電機と三菱地所ホームが共同開発した全館空調システムで、現在の最新モデルは2015年10月に発売されたVL-705HPFで(おそらく)5世代目のものです。エアロテックの歴史はこちらに掲載されています。第一号機が1995年ですから今から20年以上前から開発に取り組んでいたわけで、他社製品に対して一日の長があります。
拙宅のものは一つ前の世代(2011年10月発売)のVL-606HPFという型式です(三菱電機のサイトより)。

ちなみに気になるエアロテックの新築工事費用ですが、単品では上記のモデルの室内機(冷暖房ユニット)は希望小売価格が550,000円と表示されていますが、室外機やダクト工事などいろいろ合わせると、「150~180万円くらい」というのが三菱地所ホームのオフィシャルな回答です(詳細はこちらを参照、ただし新エアロテックの販売価格では195.8万円と記載されています)。

拙宅の場合は、請負契約項目の付帯工事(エアロテック工事)が約220万円でしたが、エアロテックモニター割引ということで全額無償となりました。但し、当時発売されたばかりの最新モデルを導入したため、新エアロテック差額ということで20万円ほど増額されましたが、これもエアロテック協力割引という名目で10万円に減額されたので、正直なところエアロテック工事だけの費用というのはなかなか算出するのは困難だと思います。

前にも書きましたが、三菱地所ホームの施主のほとんどがエアロテックを導入しているので、ハウスメーカーを三菱地所ホームに選んだということは、全館空調システムをエアロテックに決めたということです。

私の場合は、三井ホームや住友林業の全館空調システムと比較して、最終的には三菱グループの総合力が決め手となりました。三菱地所ホームの親会社の三菱地所は、東京丸の内エリアで最大の不動産業者であり、ビルの設計や管理には定評があります。全館空調システムを製造している三菱電機は、産業用の機器製造では世界トップクラスの技術力を誇り、霧ヶ峰のエアコンなどは、冷暖房機能だけでなく、空気清浄機能でも国内でトップクラスの実力を誇ります(価格.comのエアコンランキングで常にトップにランクインしています)。

先日参加した三菱地所ホームの「住まいづくりセミナー」でも、オーナーの方々はみなエアロテックの魅力について熱く語っていました(私もその一人ですが)。家づくりという人生の一大事業のなかで、全館空調システムというのは本当に大きな要因となります。住んでみてその有難さが実感されます。

今後の家づくりに全館空調システムを検討されている方々に少しでも参考になれば幸いです。

(2018/11/02追記)
家づくりのブログ記事を新しく書きました。こちらも宜しければどうぞご覧ください。

「新築で注文住宅を建てよう!~土地選びから間取りまで」(こちらです)
「新築で注文住宅を建てよう!~外構(駐車スペース、アプローチ、植栽など)」(こちらです)

(おわり)

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