メディア再生ソフトKODIでBD-ISOのメニュー再生を試す~CuBox, Raspberry Pi編

前の投稿で、KODIをWindowsパソコンにインストールしてBD-ISOのメニュー再生ができることを書きました。

この投稿では、超小型ミニコンピュータの代表格であるCuBoxと、Raspberry Piを使ってKODIを動かしてみることにします。

KODIをサポートするプラットフォームとして、OpenELECというLinuxディストリビューションがあります。OpenELECとはOpen Embedded Linux Entertainment Centerの略で、要はKODIのようなメディアソフトのOSのようなものです。

OpenELEC

OpenELECの特徴としては、様々なプラットフォームの製品でKODIを動かすためだけに開発された非常に軽量なLinxu OSということです。WindowsやiOS以外のプラットフォームでKODIを走らせるためには不可欠、というより、OpenELEC自体がKODIと言っても過言はないほどです。

1. CuBox


今回使ったのはCuBox i4 ProというCPUがi.MX6 Quad 1GHz、RAM容量は2GBのものです(詳細はこちらです)。2年前に購入したものですが、今はCuBoxの最新モデルはCuBox i4x4というRAM容量が4GBになったものがリリースされています。

CuBox i4 Pro

CuBox用のOpenELECはこちらのサイトからダウンロードできます。Freescale iMX6 Buildsのところにある[Stable]か[Legacy]のDisk imageを選択します。[Stable](OpenELEC 8.0.4)がKODIのKrypton、[Legacy](OpenELEC 7.0.1)がKODIのJarvisに相当します。

BD-ISOメニューの動作が安定しているJarvisのほうを使いたいので、OpenELEC 7.0.1を選びます。

ダウンロードしたファイルは.gzの圧縮形式になっているので、適当な解凍ソフト(7-Zipなど)で.imgのイメージファイルに解凍します。

次に、適当なmicroSDにこのイメージファイルを書き込むわけですが、推奨はClass10の最低4GBとなっているようです。私は2GBのmicroSDを試しましたが、問題ありませんでした。OpenELECのファイルサイズは300MB程度と小さいので2GBでも余裕があるのでしょう。

microSDは予めフォーマットソフトでフォーマットをしておくことをおすすめします。フォーマットソフトはいろいろありますが、私はSD Card Formatter(Windows用ダウンロードはこちら)というものを使っています。

Windowsのフォーマット機能はあくまで簡略版なので、専用のソフトでしっかりフォーマットした方がトラブルを避けられると思います。

フォーマットが済んだら今度はイメージファイルを書き込むのですが、これもイメージ書き込みソフトがいろいろあるので適当に選ぶと良いでしょう。私はWin32 Disk Imager (Windows用ダウンロードはこちら)というソフトを使っています。

無事にイメージファイルをmicroSDに書き込むことができれば、あとはCuBoxのSDスロットに入れて電源を繋ぐだけです。

かつてCuBoxではLinuxのコマンドを覚えて、SSHでWindowsマシンと繋げて。。。などと四苦八苦していた時代から比べると、拍子抜けするほど簡単です。

最初の起動時はシステムの更新などの処理のためやや時間がかかりますが、やがてWindowsのKODIと全く同じ画面が出ます。

Jarvis16.1が起動します。

あとの手続きはWindowsと全く同じです。日本語化、動画のフォルダ指定、いくつか細かい設定などなど。。。

言語を日本語に変更

言語を日本語にしてみます。言語を日本語に変更するのはすこしコツが必要です。まず初めに[System]-[Setting]からフォントを[Arial Basic]に変更します。そして[International]タブからJapaneseを選択すると日本語に変わります。

言語変更の詳細はこちらを参照ください。

ここで注意が必要なのは、日本語環境に変更するときは必ずネット接続が必要だということです。ネット接続環境には特定のプロキシも見ているようで、私が試したところあるネット接続環境ではいくらやっても選択肢にEnglishしか出てきませんでした。

日本語環境のインストール

一度日本語環境への切替に失敗すると、別のネット接続環境でもダメになってしまうようで、その場合はKODIの再インストールが必要となります。このあたりは注意が必要です。

スクロールバー

Jarvisは最新版のKryptonとはテイストの異なる画面が出てきました。ユーザーインタフェースもKryptonとはだいぶ違います。

そして、ビデオ再生でBD-ISOを指定してメニュー再生をしたところ。。。Windowsと同じようにメニュー再生ができました!


BD-ISOメニューが再生できました

BD-ISOのメニュー再生もWindowsとまったく遜色ないレベルです。メニュー遷移がなかなか反応しないところもWindowsと完全に同じでした。

残念だったのは、MPEG2のフルHDの再生が非常に厳しく、カクカクして観るに耐えないレベルだったことです。H.264のフルHDは問題なくスムースに再生できました。

CuBox本体をi4 Proからよりスペックの低いi1に交換して試したところ、カクカク度はさらに酷くなったので、MPEG2はソフトウェアデコードされておりCPUの再生能力に依存しているのかもしれません。

ひょっとしてと思い、KryptonベースのOpenELEC 8.0.4も試してみましたが、残念なことにメニュー動作には対応していませんでした。

あと気付いたのは、KODIを動かしているとCuBoxがかなり熱を持つということです。CuBoxはファンレスなので、放熱対策として上部にヒートシンクを設けるなど放熱対策が必要と思われます。

CuBoxにメディアセンター用のリモコンを使ってみましたが、プラグアンドプレイで問題なく動作しました。しかし、リモコンのワンクリックがなぜかツークリックと判別されてしまうようで、メニューの操作などはリモコンだけでは無理だということもわかりこれも残念な点です。

CuBoxには別に専用のリモコンもあり、手持ちがなく今回検証はできませんでしたが、OpenELEC対応を謳っているので、こちらは問題なく動作するかもしれません。
CuBox用リモコン

CuBox i4 ProはWiFi(11n)も内蔵しているので、WiFiによるネット接続も可能です。BD-ISOを再生すると、WiFiではさすがに厳しい状況でした。

総評:CuBoxでのBD-ISOメニュー再生はQuad Coreの性能の恩恵でWindowsと比較して全く遜色ないパフォーマンスでした(逆にWindowsより優れている点も見つかりませんでした)。放熱対策さえしっかりすれば、CuBox i4 Proは理想的なマルチメディアプレーヤーだと思います。

2. Raspberry Pi


今回使ったのはRaspberry Pi2 ModelBというCPUがARM Cortex A7 (4コア900MHz)、RAM容量は1GBのものです(詳細はこちらです)。2年前に購入したものですが、最新モデルはRaspberry Pi3というCPUがQuad Core 1.2GHz Broadcom BCM2837 64bit CPUにグレードアップされたものが昨年秋よりリリースされています。

Raspberry Pi2 ModelB

Raspberry Pi2用のOpenELECはこちらのサイトからダウンロードできます。Raspberry Pi Buildsのところにある[Stable]か[Legacy]のDisk imageを選択します。[Stable](OpenELEC 8.0.4)がKODIのKrypton、[Legacy](OpenELEC 7.0.1)がKODIのJarvisに相当します。

Raspberry Pi2もmicroSD起動なので、KODIのインストール手順などはすべてCuBoxと同じです。

電源を入れてからメニューが出るまでは約15秒ほどでしょうか。それほど遅いという印象はありません。

BD-ISOのメニュー再生も、メニュー遷移がなかなか反応しないところは残念ながらCuBoxと全く同じでした。

CoBoxと同様、MPEG2のフルHDの再生が非常に厳しく、カクカクして観るに耐えないレベルです。H.264のフルHDは問題なくスムースに再生できました。

MPEG2の画像素材はすべてH.264に再エンコードし直さなければと思いました。。。

Raspberry Pi2はMCEのリモコンがプラグアンドプレイでそのまま使えました。CuBoxと異なりリモコンのクリック問題もないので、マウスなしでリモコンだけですべての操作ができます。

また、発熱はあるものの、放熱対策が必要となるようなレベルではありませんでした。

再生画質ですが、意外にもCuBoxより遥かに綺麗だと思います。グラフィック性能は申し分ないと思います。もちろん専用のブルーレイディスクプレーヤーには敵いません。

総論:Raspberry Pi2での再生は、いくつかの点でCuBoxよりも優れていました。実用レベルで問題ありませんし、画質もなかなかです。リモコンが使えるので快適に操作ができます。

KODI(Jarvis18.1)とRaspberry Pi2の組み合わせでのBD-ISO再生は、素材がMPEG2ではなくH.264であれば十分実用的であることがわかりました。消費電力も少ないので常時起動状態で問題ありません。これはなかなか便利です。

また、最新のRaspberry Pi3ではどの程度のパフォーマンスとなるのか興味があります。

改めてKODIのサイトを調べてみると、対応デバイスにAmazon FireTVやChromeboxなどもリストされています。

KODI対応デバイスの例

機会があればAmazon FireTVやChromeboxなども入手して試してみたいと思います。



(おわり)


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